米粉の皮で包んだ餃子 商品開発ストーリー

小麦アレルギーの
子どもにも、
おいしい餃子を。

「餃子の皮は、小麦でできている」。ほとんどの人にとっては当たり前のこのことが、
小麦アレルギーの子どもたちとご家族にとっては、とても大きな問題でした。
これは、「米粉」の皮でできた「グルテンフリー餃子」の開発ストーリー。
「一人でも多くの方においしい餃子をお届けしたい」と願い続ける、
餃子計画のチャレンジをご紹介します。

日本有数の米どころ
秋田県大潟村との出会い。

きっかけは、日本有数の米どころである秋田県大潟村を新工場の開設候補地としてご紹介いただいたことでした。以前から「アレルギーを持つ子どもたちにも食べてもらえる餃子を開発できないか」と考えていた私たち餃子計画は、生産した米の加工・販売に積極的に取り組む大潟村との連携事業による「米粉の皮で包んだ餃子(以下、米粉餃子)」の開発を検討しはじめたのです。
実現すれば餃子計画グループとして4カ所めの工場となりますが、小麦アレルギーの方も安心して食べられるグルテンフリー餃子を製造するためには、同工場ではたとえ別製品であっても一切小麦を使うことはできなくなります。全く新しい餃子専門の工場を立ち上げるという非常に大きな設備投資です。その他不確定要素も多々あることから社内では慎重論も起こりました。
しかし「それでも米粉を使って、オンリーワンの価値を持った全く新しい餃子ができるのなら」。そう考えた私たちは、理念の一節でもある「新しい食文化の創造」の実現に向けて舵を切ることを決断しました。

伸びない米粉」を伸ばして
餃子の皮」にする。

当時から米粉パンはありましたが、「米粉100%」となると、ほとんど見かけることはありませんでした。実際に「米粉の皮」づくりに取り組みはじめた開発チームは、その理由に気づきます。米粉100%でできた生地は柔軟性がないため、伸ばそうとするとすぐに破れてしまうのです。従来の製麺機では、とても皮をつくれない。そう考えた私たちは、米粉の皮専用の製麺機を特注することにしました。
「無理なく伸ばすこと」にとことんこだわって設計したほか、原材料についても発芽玄米粉を配合することで伸びやすさを改善。ついに「米粉の皮」を実現させることができました。
「生冷凍」を基本とする餃子計画としては珍しい「蒸し冷凍」を採用したところ、独特のモチモチ感が生まれ、新たな餃子の味わいに出会えたことはうれしい誤算でした。

餃子のタレに至るまで
完全なグルテンフリー」へ。

「米粉100%の皮」はできましたが、「グルテンフリー」を実現するためにはすべての原材料・調味料について一切小麦を使ってはいけません。原材料の提供を依頼するサプライヤーに対しては、原材料・調味料そのものに小麦が使われていないことはもちろん、原材料の製造工場で小麦が混入する可能性がないかチェックを徹底して行いました。
開発チームが驚いたのは、想像以上にさまざまな原材料に小麦が使われているということ。食品メーカーそのものが少ない秋田県において、条件を満たすサプライヤーを探し出すことは簡単ではありませんでしたが、最終的には完全小麦ゼロに。現在では、付属する餃子のタレに至るまでグルテンフリーを実現できています。
その他、「米粉餃子」の完成までには、「糊の作用を持つグルテンがないため、餃子の口が開いてしまう」などの問題もありましたが、度重なる開発・試作を経てついに出荷にこぎつけることができました。その長い道のりに感無量の開発チームでしたが、本当のゴールはお客様の口に入り、何事もなく喜んでいただけること。あとは祈るような気持ちで、お客様の声を待つことになりました。

初めて子どもといっしょに
餃子を食べることができました」。

当初は学校給食や生協など、業務用に限定して出荷していた「米粉餃子」ですが、小麦アレルギーのお子様をお持ちのご家族からの感想や質問が続々と寄せられました。
「今日子どもが『生まれて初めて餃子を食べた!』と喜んでいます」
「この餃子はどこで買えるんですか?」といったお客様の後押しを受けて、「米粉餃子」プロジェクトは市販用パッケージの製造・販売という次のステージへ進行していきました。
現在も、米粉餃子に対するお客様の声は、メールや電話、ECサイトなどに引き続き寄せられており、すべて大潟工場のスタッフに共有しています。中でも「小麦アレルギーの子どもといっしょに、初めて餃子を食べることができました。本当にありがとうございます」という声には、スタッフも思わずうれし涙を流すことになりました。
餃子計画は、これからも日本中、世界中のお客様の思いに応えられるような餃子づくりに取り組んでいきます。小麦アレルギーをお持ちの方も、そうでない方も、ぜひ米粉餃子を味わってみてください。